施設内訪問看護への想いと、面接の雰囲気の良さが決め手に

――看護師を目指されたきっかけから教えてください。

祖父母のことが大好きで、2人はいつも「長く家で暮らしたい」と話していました。ただ、いずれは介護が必要になるだろうという思いもあり、そのときは知らない方にお世話をお願いするのではなく、これまでお世話になった分を私が返したいと考えていました。

最初は介護士の道を思い描いていたのですが、親から「看護師はどうか」と勧められたことと、近所に高校から短大まで5年一貫で学べる看護学校があったことが重なり、看護師を志しました。看護学校では20歳まで学び、資格を取得しました。

――看護学校卒業後は、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

最初は大学病院に就職しました。はじめは最先端の医療が学べる環境で勉強したいという思いがありました。

その後は、ライフスタイルの変化を機に働き方を見直したいと考え、特養(特別養護老人ホーム)へ移りました。特養に興味を持ったのは、大学病院時代のある経験がきっかけでした。患者様の退院支援にも関わる中で「事情があって自宅に帰りたくても帰れない方にとって、帰る場所はどこになるのだろう」という疑問を抱いたのです。そこから特養や老健といった住まいの選択肢を一通り知りたいと考えるようになり、元々持っていた「生活に寄り添いたい」という想いもあって、特養への転職を決めました。

――そこからMSCへ入社された理由を教えてください。

住まいのあり方や、生活に寄り添う支援のひとつとして、訪問看護自体に興味がありました。ただ、ご自宅へ伺う訪問看護は何でも対応できるスペシャリストの世界だと感じており、自分にはまだ経験値が足りないと考えていました。だからこそ、まずは施設内での訪問看護から経験を積み、着実に力をつけていきたいと考えていました。

MSCに惹かれたのは、訪問看護や訪問介護、施設運営といった複数の事業を自社で展開している点です。施設内訪問看護であれば、看護師一人で対応する時間があっても、介護スタッフの方など、身近に相談できる仲間がいます。専門職が孤立せず、互いに連携しながら利用者さまを支えられる体制が整っていることに、大きな安心感がありました。

加えて、面接の際にMSCの自社施設を見学させていただいたのですが、山の中にある明るくきれいな建物で、面接も柔らかい雰囲気で雑談を交わせるほどでした。こうした環境なら、長く働けそうだと感じたのです。

初めての訪問看護。先輩の姿から学んだ、利用者様への向き合い方

――入社してみて、大変だったことはありましたか。

入社直後は、介護保険法などの訪問看護に必要な専門知識をインプットするのが大変でした。また、施設看護とは違い、決められた訪問の時間の中でどこまで対応するかという判断も難しく、頼られるとつい応えたくなってしまう場面も多かったです。

――その難しさは、どのように乗り越えていったのでしょうか。

別の事業所から指導に来てくださった看護師の方の存在に助けられました。その方は、利用者様を思う温かい気持ちを持ちながらも、必要なケアの範囲をきちんと見極めて対応されていました。その場だけでなく、利用者様の人生を丸ごと見つめて考え、判断されている姿を見て、私もこうなりたいと感じました。同じ会社の中に、そうして学ばせてもらえる先輩がいる環境は本当にありがたかったです。

――現場を経験する中で、ご自身の成長を実感された場面はありますか。

他社運営の施設へ異動になったタイミングです。初めて常勤看護師一人という体制になり、さらに他社のスタッフ様との協働も求められ、関係性を築いていく難しさもありました。

一方で、他の方に業務を教える機会が増えるなかで「意外とわからないことも自分で消化して、仕事ができていたんだ」と気づいたのです。教える際にも、根拠立てて伝えられるようになっており、これまで学んできたことが着実に身に付いていることを実感しました。何に対しても「なぜだろう」と自分に問いかけ、調べる癖がついていたことが、積み重なっていたのかもしれません。

周囲を巻き込み、良い影響を与えられる人に。自走社員育成プロジェクトへの挑戦

――本社の自走社員育成プロジェクトに参加されたと伺いました。どのような取り組みなのでしょうか。

会社が「強い人材をつくる」という理念を掲げ、一人ひとりが自分で考えて動ける「自走社員」を育てるために立ち上げたプロジェクトです。看護事業部と介護事業部、薬剤部等からそれぞれ選出され、第一期生として参加することになりました。立ち上げた方からは「最初からあなたにお願いしたいと思っていた」と言っていただき、周囲の空気を変えられる点や向上心を評価してもらえたようでした。

半年をかけて個人課題を見つけ、解決していく取り組みで、私は「周囲を動かす力を強化し、チーム力を最大化できる人になる」という目標を設定しました。利用者様の生活を支えるためには、介護士さんをはじめとした他職種との連携が欠かせない一方で、自分の考えを相手に的確に伝えたり、周囲を動かしたりする力がまだまだ私には足りていないと感じていたためです。

――課題の解決に向けて、具体的にはどのように取り組んでいったのですか。

外部研修やオンラインの対話型研修を受けたり、他の自走社員の発表を聞きに行ったりと、実践を重ねました。相手に伝わる話し方を学びながら、自分で研修を受けて現場で試すことを繰り返していったのです。

大切にしていたのは、ケアの必要性や根拠を、協働する他社のスタッフの方々へ丁寧に伝えることです。業務を増やすのではなく、なぜそのケアが必要なのかを共有していくと、同じケアでも一人ひとりの向き合い方が変わっていきました。そこで、介護士会議に参加して毎月勉強会を実施したり、毎朝の朝礼で1分間説明の時間を設けたりすることを継続しました。

やがて、私が声をかけなくても、スタッフの方から「利用者様の生活をこうすればもっと良くできるのではないか」というアイデアが自然と出てくるようになったのです。半年間の取り組みを通じて、スタッフの方々がその波に乗ってくださり、施設に土台と流れをつくれたと実感できました。

――取り組みを通じて、どのような気づきがありましたか。

一番の気づきは、自分が「足踏みしているかもしれない」と自覚できたことです。穏やかに日々をこなし、人間関係にも恵まれ、子育てと両立できる、本当にありがたい環境にいました。ただ、自分の現状の課題や今後のビジョンを考える中で、今の環境でできることは一通り経験し、新しいことに挑戦する機会が少なくなっていると感じました。自走社員育成プロジェクトが、その状態に気づかせてくれました。

現場を知るからこそ生み出せる価値を。本社で始まる新たな挑戦

――現在は、新しい役割に向けた準備が進んでいるそうですね。

本社の人事や広報を担う部署への異動が決まりました。上長との面談で今後の働き方について話す中で、自走社員育成プロジェクトを通じて、自分が今の環境でできることを一通り経験させてもらえたと感じていること、そして、以前に比べて新しいことに挑戦する機会が少なくなっていることに気づいたと率直にお伝えしました。そうした思いを受け止めてもらい、新しい挑戦の場として提案いただいたのが、本社での仕事でした。

私は現場で常勤看護師として勤務してきた経験から、現場の良いところや課題、何に困り、何を必要としているのかを把握しているつもりです。その声を、本社という立場から仕組みや流れの改善につなげられるのではないかと考えています。また、看護師として 一人ひとりの様子や変化を見ながら、その時々で何が必要なのかを考え対応してきた経験は、これからの仕事にも活かせるのではないかと思っています。今後は、現場で培った経験を活かし、本社から会社や現場を支えていきたいです。

――最後に、MSCで働く魅力を教えてください。

MSCにはさまざまな部署があり、「やりたい」という思いを尊重してくれる会社だと感じています。他社であれば転職になるような挑戦も、社内での新しい役割として受け止めてもらえ、勝手を知っている人たちのもとで実現できる。その点は、長く働きながら自分の可能性を広げていける、大きな魅力だと思います。