調整型マネジメントの確立。発想の自由さに惹かれて入社

――まずは、これまでのご経歴を教えてください。

大学の薬学部を卒業し、薬剤師試験に合格した後、まずは数店舗規模の薬局に入職してキャリアをスタートさせました。その後、知り合いからの誘いで病院に勤め、さらに新しく薬局をオープンする先へ転職しました。その薬局で薬局長を任されたのが、私のマネジメント経験の原点です。

その会社では、拡大フェーズを経て上場していく過程を共にし、15年ほど在籍しました。そこで関西エリアの責任者として、比較的大きな組織をまとめるポジションに就いたことが、今に繋がっています。マネジメントは天職だと感じるほど好きで、みんなと一緒に何かを成し遂げるという達成感が一番の原動力です。グイグイ引っ張るというよりは、調整をしながら最終的にはみんなの成長をサポートし、結果として会社の利益も上がる形を目指しています。

――数ある企業の中で、MSCへの入社を決めた理由を教えてください。

決め手になったのは、発想が自由だと感じた点です。薬局業界にいると薬剤師とばかり関わって考え方が固まりがちですが、社長がまったく別業界の銀行出身だったこともあり、薬剤師や薬局にこだわらず色々な仕事ができるチャンスだと感じました。面接で自分のやりたいことを話したとき、普通なら難しいと思われるような内容でも「ぜひやってみてください」と肯定していただけて、ここならと思えました。

やりたいことは大きく二つありました。一つは、それまで感じていた人事制度や部下の教育の課題を解決し、変えていきたいという思いです。もう一つは、詳細はまだお話しできないのですが、街づくりです。自分の意に沿わない人事もある中で働いてきたので、もう少し自分の考えで動くことのできる会社で挑戦したいと考えていました。それまで培ってきたものの集大成として臨める環境に、「不安半分、楽しみ半分」という気持ちで飛び込みました。

前例のない薬局買収に、入社直後から一人で挑む

――入社後は、どのような業務からスタートされたのですか。

今はない人材開発部の次長という形で入社し、主に薬局買収に向けて動いていました。MSCには元々薬局は2店舗しかなく、街づくりと同時に薬局を50店舗ほどの規模に拡大したいという目標があったためです。実際にある1店舗の買収に携わりましたが、自分で足を運んで先方の社長と話し、資料を確認して検討まで全て担うのは初めての経験でした。

――なぜ、入社間もないO.TさんがM&Aという重要な任務を担われたのでしょうか。

面接のときから「薬局を50店舗ほどの規模にしたい」とずっと伝えていたからだと思います。薬局内部の事情や数字は私がよく理解しているので、資金繰りとの部分を会社が見てくれれば大丈夫だと信頼していただけたのだと感じています。この規模にこだわったのは、教育やマネジメント、人事など、様々な志向を持つ薬剤師の夢を会社の中で叶えられるようにするためです。

――買収の過程では、どのようなご苦労がありましたか。

進行はかなり難航しました。途中で認識の食い違いがあったり、資料と現場の従業員から聞く話が異なっていたりして、当初予定していた運営開始を1か月遅らせることで、なんとか着地しました。また、事業計画を資金調達の部分から考えることにも、最初は難しさを感じました。入社してまだ日が浅く、社長や役員とのコミュニケーションの取り方に難しさを感じる場面もありましたが、私が何を考えているか、数字はどうなのかといった本来こちらから報告すべきことまで、率先して聞いてくださったことに助けられました。

「自分で考える」を引き出し、任せて育つ組織へ

――その後、薬局事業部に異動されてからはいかがでしたか。

異動のタイミングに、マネージャーと店舗責任者の退職が重なってしまい、元々あった2店舗のうち1店舗の薬剤師がいなくなってしまいました。応需している施設があったため、私自身が2か月ほどプレイヤーとして現場に入りながら、他の店舗も見るという状況でした。もう1店舗から応援に来てもらい、みんなに助けられてなんとか乗り切った2か月でした。

その中で感じたのは、メンバー、一人ひとりに力があるのに、それを十分に発揮しきれていないということでした。私が全てを解決するのではなく、みんなに解決してもらう形にしたいと考え、何か起きるごとに「これは自分で考えて対応してほしい」「できないときは相談してほしい」と、一気にではなく少しずつフィードバックを繰り返しました。みんなが活発に意見を出せる環境をつくりたいと、常に意識していました。

――組織づくりの中で、特に大きな変化があった取り組みを教えてください。

「薬局長」というポジションを新設したことです。以前は法的に必要な「管理薬剤師」が指示された業務を中心に担い、店舗運営の指揮は、複数店舗を統括するマネージャーに集中している状態でした。そこで、管理薬剤師に、店舗のマネジメントと数字の責任を負う薬局長という役割を与えることで、マネジメントが店舗単位で完結する体制をつくりました。

この体制整備と、「自分たちで考えてほしい」というマネジメントの積み重ねによって、メンバー全員が以前より1つ上のレイヤーの仕事をこなせるようになりました。例えば、現在の係長は、これまではマネージャークラスが担っていたような業務の9割を担ってくれるまでになり、個人の仕事の幅が格段に広がっています。今の体制ができるまでには1年半ほどかかりましたが、その過程で私自身も、何が起きても自分で解決策を考え抜く力が身についたと感じています。何を聞いても誰かが答えを持っている環境ではないからこそ、自分がどうしたいかを持たなければ前に進めない。その中で鍛えられた実感があります。

人が成長する組織で、地域の健康寿命を延ばす

――現在、特に注力されている取り組みを教えてください。

まず取り組んでいるのは、仕事を通じて人が成長する組織をつくることです。入社前にやりたいと話していた人事制度についても、当社では評価の裁量をかなり与えていただいているので、個々の業務レベルを考慮しつつ、頑張りたい人にきちんと評価が戻っていく仕組みを整えられてきました。

事業面では、最近オープンした店舗で、従来の施設特化型ではなく、漢方ダイエットや健康相談といった機能に振り切った店舗をつくりました。地域の方の健康寿命を延ばすというコンセプトで、私たち自身も素人から始めているため、マニュアルを1からつくって対応しています。満足してくださるお客様も増えてきているので、利益と両立させながら成功させ、他の店舗にも広げていきたいと考えています。

――MSCで働く魅力は、どのような点にあるとお考えですか。

他の薬局企業と違い、MSCには看護師やケアマネジャーも社内にいるため、多職種連携や医療連携が取りやすいという強みがあります。例えば「この薬を中止したらどうか」といった細かな相談も、社内のチャットで気軽にできますし、そうしたコミュニケーションが非常にスムーズな環境です。

また、成長したい人にとっては、非常に良い環境だとも思います。やりたいことができるチャンスを掴むのは自分の力ですが、本気で頑張れば報いてもらえる会社だと思っています。決して生ぬるい環境ではありませんが、その分だけ成長できる機会にあふれています。本気で頑張りたいという意思と実行力がある方とは、ぜひ一緒に働きたいと考えています。