会社の看板を外して、自分の営業力を試したかった

――まずは、これまでのご経歴を教えてください。
もともとは教育関係やアート作品の営業など、介護とまったく縁のない業界にいました。ただ、当時はお付き合いの積み重ねで購入いただく場面が多く、自分の提案力で勝負できているという実感を持ちにくい状況でした。「自分自身で勝負できる営業活動はないだろうか」と模索していたときに、人材紹介会社から紹介されたのが、介護業界の営業でした。
未経験でしたので、最初は相当苦労しました。介護の知識だけではなく、医療や薬などの知識も必要ですし、入居先を探されている方はとにかくスピード感を求められます。お電話で「わかりません」と簡単には返答したくなかったので、左手に会社の携帯、右手に私物の携帯やPCを持ち、調べながらお話しするということを日々続けていました。
――その後、どのようにキャリアを重ねられたのでしょうか?
3年ほど経ったころ、当時の上司が新しくできる介護会社に移ることになり、「一緒に創業メンバーとしてやらないか」と声をかけていただきました。役員2名、施設も1棟20室ほど、本社もプレハブという立ち上げ期の組織です。そこから組織が大きくなる過程を一緒に経験させていただき、営業部の課長職を務めながら12年ほど在籍しました。
今も一番大切にしている「親切・丁寧・迅速」という姿勢は、介護業界に入った1社目の元上司の背中を見て学んだものです。いくら対応が迅速でも、丁寧さや親切さがなければ意味がありませんし、急いでいても丁寧でなければお客様は離れてしまいます。この当たり前のことを愚直にやり抜いた結果、入社1~2年目には、1か月で12名〜13名の方の入居成約を経験した時期もありました。
――長く勤めた会社を離れ、MSCへの転職を決めた理由を教えてください。
きっかけは家庭環境の変化です。前職では仕事に没頭するあまり、月6日の休日もなかなか仕事から離れられない時期が続いていました。結婚して子どもが生まれたことで、仕事と家庭の両立を改めて考えるようになり、転職を検討するようになりました。
もう一つ、12年も同じ会社にいると、どうしても「会社の顔」で仕事をしている部分が出てくることも気になっていました。会社の看板に頼らず、自分の実力だけでどこまで通用するのかを試してみたいと感じました。MSCのような他社様の施設を紹介する形であれば、自社施設という「会社の看板」に頼らず営業をするわけですから、より個人の力が試されると感じたのです。
MSCへ入社する決め手になったのは、悩んでいるときに社長と2、3回お会いしたことです。第一印象はとてもフランクで、人を緊張させない器の大きさを感じました。さらに「成果を出した人にはきちんと還元する」「やりたいことがあれば挑戦してほしい」というスタンスの方で、自分で考えて動いた分だけ評価が返ってくる環境だとわかり、1年近く悩んでいた気持ちが固まりました。「何かあったらいつでも相談乗るよ」というスタンスも、環境を変えるきっかけになりました。
数字を追いながら「正しい支援」を追求する営業組織
――現在の役割とチーム体制について教えてください。
役職は次長で、入居営業のチームを率いています。新しいメンバーも入社し、現在は私を含めて4名です。私自身もプレイングマネージャーとして、ほぼ毎日面談や打ち合わせがあり、直行直帰で動いています。
――高い目標を掲げるなかで、大切にされている考え方を教えてください。
売上は営業として大切なミッションですが、そこを最優先にしてしまうと、ご高齢の方へのきちんとした支援ができなくなってしまいます。ですから部下にも、「数字は当然ついて回るものだけれど、それ以上に大切なのは『どのようにご相談者様と向き合えるか?』の支援のあり方だ」と伝えています。
ご本人はもちろん、ご相談に来られる息子様や娘様といったキーパーソンのご希望を丁寧に伺うことが大切です。また、ケアマネジャー様や病院の担当者様から、施設を探されている方の状況や支援上の課題を正確に聞き取り、隠れたニーズを引き出し、ご本人の希望に本当に合った施設をご紹介しなければ、紹介会社としての存在価値を出せません。この支援のあり方については、週に1回の営業会議で全員で事例を見つめ直し、日々ブラッシュアップを重ねています。
――どのようなご相談が寄せられるのでしょうか?
ご相談者様は本当に幅広く、施設の料金についてご相談いただくこともあれば、「リハビリがしたい」「レクリエーションがある施設が良い」といった、ご自身の生活を維持するための前向きなご要望をいただくこともあります。価格帯は低料金の老人ホームから高級老人ホームまで幅広く支援しています。ご紹介先の種類も、24時間看護の施設、パーキンソン病などの難病対応施設、障害のある方に対応可能な施設、生活保護を受給されている方に対応した施設など、多様な選択肢があります。費用面、レクリエーション、リハビリ、エリアなど、さまざまな条件から最適な施設を選定し、その方の希望を叶えるお手伝いができるのは、大きなやりがいのひとつだと感じています。
成果を生むのは「素直さ・熱量・スピード感」

――成果を出す営業に共通する姿勢は、どこにあるとお考えですか?
共通するのは三つです。1つ目は「素直さ」、2つ目は「熱量」、3つ目は「スピード感」だと考えています。
まず素直さについてですが、これは支援の仕事において、お客様のご要望を何でもそのままお受けするという意味ではありません。お客様のご希望条件を100%満たす施設は、この世にまず見つからないからです。私の経験では、ご希望条件の70%から80%ほど合致する施設が現実的な選択肢になることが多いと感じています。ですから、何でも受け入れるのではなく「それは難しいのですが、こういう形であれば可能です」と、できないことはできないと率直にお伝えする素直さが必要です。代替案まで含めて誠実にお伝えすることが、ご家族にとっての早い解決と、深い信頼につながっていきます。
――2つ目の「熱量」については、いかがでしょうか?
社内的には、一つひとつのご相談を成果につなげ、売上をつくっていくという数字へのこだわりも半分あります。ただ、もう半分は、このご相談を何としてもご希望される期限までに、ご本人とご家族が納得できる形に導くという強い想いです。
ご相談から面談、見学、比較、契約まで多くのプロセスがありますが、その一つひとつに熱量を持って向き合わないと、お客様にはすぐに見抜かれてしまいます。事務的に処理しているだけの対応だと感じられてしまえば、誰も振り向いてはくれません。
――3つ目の「スピード感」について教えてください。
ご相談者様は、介護疲れや退院の期限に追われ、私たちが想定している以上に大きな不安を抱えながら施設を探しておられます。だからこそ、イメージしている以上の早さで動くことが求められます。例えば「今月中に」とおっしゃるのであれば、その日のうちに施設を選定してご提案し、翌週には入居先を決められるよう、見学や面談などの対応をスピーディーに進めていく必要があります。
また、施設探しについてご相談くださったケアマネジャー様や病院の担当者様に対しても、できるだけ早く状況をご共有することを心がけています。迅速かつ丁寧な対応を積み重ねることで、施設探しで困ったときに安心して相談していただける関係につながると考えています。
任せることで育て「戦える集団」をつくる
――メンバーの育成やマネジメントで、大切にされていることは何でしょうか?
上から一方的に指示を出すやり方や、やらされる仕事では、本人も面白さを感じられないと思っています。ですから、倫理的、社会的にしてはいけないこと以外は、メンバーが「こうしたい」と言ってきたら「まずはやってみよう」と任せるようにしています。自分で動いてみて、うまくいかなかった経験から学び、次はどうするかを一緒に考えることが一番の成長につながると思っているので、基本的には細かく口を出さないようにしています。
――メンバーの提案から生まれた取り組みがあれば教えてください。
社外向けのイベントを行った際、私はアナログな方法を考えていたのですが、メンバーがQRコードを使った仕組みを自発的につくって提案してくれました。今の時代に合った方法で、良いアイデアと感じました。
部署のコンセプトを決めたときも同じです。私がトップダウンで決めるのではなく、月に1回メンバー全員で集まり、各自がパワーポイントなどで案を持ち寄って議論し、自分たちで決めてくれました。そこで決まったコンセプトは、一言で言えば「部署で1番、頂点を目指す」という内容です。日々の勤怠管理や日報といった基本的な業務を一つひとつ丁寧に積み重ねることも含めて、チーム全員が、それぞれトップを狙っていこうというものになりました。
――現在のチームには、どのような雰囲気がありますか?
私が入社したころは、右も左もわからず、問い合わせも皆無でした。日々相談が増えることで、互いに良い刺激を与え合える環境になってきていると感じます。私自身が達成した売上に対して、若手のメンバーにも刺激になり「自分ももっと数字を上げたい」と前向きに受け止めてくれていますし、異動してきたメンバーも「負けたくない」という気持ちで取り組んでくれています。
理想のチーム像としては、私はもともとサッカー部出身なので「戦える集団」という表現がしっくりきています。守ることも、攻めることも、見守ることも戦術的に使い分ける。しっかりと構えを持った一人ひとりが集まることでチーム全体が強くなり、目標である「部署で1番」にそれぞれが向かえると考えています。
――最後に、転職を検討している方へメッセージをお願いします。
当社には、やらされる仕事はありません。社長も「成果を出した人にはきちんと還元する」「やりたいことがあれば挑戦してほしい」という考えの持ち主ですので、取り組んだ分だけ評価が返ってくる環境です。裏を返せば、指示を待つ姿勢よりも、自分から動いていきたい方に合う環境だと思います。
正しい支援のあり方を学びながら自己成長したい、前向きに勉強していきたいという意欲のある方には、充実した環境が整っています。そうした思いをお持ちの方に、ぜひ当社の門を叩いていただきたいと思っています。