敬老の日に読むデータ|統計が示す2040年、看護・介護職の「働き方」はこう変わる

9月の第3月曜日は「敬老の日」。この時期になると高齢者に関する統計が公表され、ニュースでも高齢化の話題を目にする機会が増えます。数字そのものは自分から遠い話に感じられるかもしれませんが、そこには看護・介護の現場がこれから向き合う変化が表れています。
本記事では、公表されている統計をもとに、2040年に向けて看護・介護職の働き方がどう変わっていくのか、そしていまから準備しておきたいことを整理します。

統計が示す、これからの高齢社会の姿

杖をつき、荷物を提げて歩道を歩く高齢女性の後ろ姿

65歳以上の人口は3600万人台に達し、総人口に占める割合は29.4%と過去最高になりました。人数の伸び自体はゆるやかになってきましたが、割合は今後も上がり続けます。
つまり、支えられる人が急に増えるというより、支える側の世代が減っていく局面に入ったということです。

もうひとつ見ておきたいのが、「高齢者」の中身の変化です。65歳以上で働いている人は900万人を超え、元気に仕事を続ける層が確実に増えています。その一方で、医療や介護を日常的に必要とする85歳以上の層も増え続けています。ひとくくりに語れない時代になった、と言えます。
同じ「高齢者」でも必要とされる支援はまったく違い、現場に求められる引き出しも広がっています。

参照:総務省統計局「統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者」(閲覧日:2026年9月2日)
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1460.html

データから見える、看護・介護の現場に起きている変化

屋外の草地で、車いすの高齢女性を囲んで笑い合う多世代の人たち

支える人手が追いつかない

介護職員の必要数は、2040年度に約272万人と推計されています。2022年度と比べて、およそ57万人増やす必要がある計算です。働き手となる世代が減っていく中での数字であり、人手不足は景気による一時的なものではなく、構造的な変化として続いていきます。

ケアの場が「暮らしの場」へ広がる

入院や入所ではなく、住み慣れた地域で暮らし続けることを支える方向が進んでいます。訪問看護や訪問介護、通所サービスの役割は、これまで以上に大きくなります。

  • 在宅での医療的ケアに関わる機会が増える
  • 多職種と連携しながら判断する場面が増える
  • 一人で訪問し、その場で判断する力が求められる

施設の中だけで完結しない働き方が、これからは当たり前になっていきます。

認知症のある方と関わる機会が増える

高齢化が進むほど、認知症のある方と接する場面は増えていきます。専門の部署だけの話ではなく、どの職種であっても認知症ケアの基本を知っていることが前提になりつつあります。
研修の機会があれば早めに受けておくことが、そのまま日々の関わりのしやすさにつながります。

働き方そのものの見直しが進む

限られた人数で現場を回すため、記録の電子化や見守り機器の導入など、業務のやり方を変える動きが広がっています。新しい仕組みに前向きに関われるかどうかが、働きやすさを左右します。
苦手意識があっても、使いながら慣れていける職場かどうかを見ておくと安心です。

参照:厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」(閲覧日:2026年9月2日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html

数字を読むときに注意したいポイント

玄関で高齢の利用者に笑顔であいさつする男性スタッフ

全国の数字と地域の実感は違う

高齢化の進み方は地域によって大きく異なります。すでに高齢者人口が減り始めた地域もあれば、これから急に増える都市部もあります。全国の平均値だけで自分の職場の将来を判断しないことが大切です。
自分が働く市町村の推計を一度見ておくと、将来像はぐっと具体的になります。

推計は前提が変われば動く

将来推計は、出生や死亡、人の移動の見通しをもとに計算されています。前提が変われば結果も変わるため、「決まった未来」ではなく「いまの延長線」として読むのが適切です。
数年ごとに新しい推計が公表されるため、そのつど確かめ直す姿勢が求められます。

「不足」の中身を分けて見る

人手不足と一言で言っても、その中身はさまざまです。次のような違いを分けて見ると、自分に必要な準備が見えてきます。

  • 職種による違い(看護職・介護職・リハビリ職)
  • 働き方による違い(夜勤の有無、常勤か非常勤か)
  • 事業形態による違い(施設系・訪問系・通所系)

自分が働く分野の数字を見ておくと、判断の材料はぐっと具体的になります。

数字は不安をあおるためのものではない

統計は、危機感を持つためだけの材料ではありません。どこに需要が生まれるのかを知るための情報でもあります。悲観するのではなく、選択肢を広げるために使いたいところです。
需要が伸びる分野を知っておけば、次の一歩を落ち着いて選べます。

参照:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(閲覧日:2026年9月2日)
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp_zenkoku2023.asp

2040年を見据えて、いま準備しておきたいこと

明るい室内で笑顔を見せるユニフォーム姿の女性介護職員

「どこで働くか」の選択肢を広げておく

在宅を支える分野は、これから確実に需要が伸びます。すぐに移らないとしても、訪問系の仕事内容を知っておくだけで、将来の選択肢は広がります。見学や体験の機会があれば、早めに使っておきたいところです。

資格取得は逆算して考える

介護福祉士やケアマネジャーなど、実務経験の年数が要件になる資格があります。取りたい時期から逆算すると、いまの職場で積んでおくべき経験が見えてきます。
働きながら学ぶ人が多い資格でもあるため、早めに情報を集めておくと動きやすくなります。

職場を選ぶときに見ておきたい点

長く働き続けるためには、条件面だけでなく体制も確かめておきたいところです。

  • 教育・研修の機会が用意されているか
  • 記録や情報共有の仕組みが整っているか
  • 多職種で相談できる関係があるか

求人票の数字だけでは分からない部分は、見学や面接で具体的に聞いてみるのが確実です。

一人で抱え込まない働き方に慣れる

これからの現場では、限られた人数で成果を出すために連携が欠かせません。報告や相談を早めに出せることは、そのまま働き続けやすさにつながります。
抱え込まずに声を上げられる関係は、忙しい現場ほど大きな支えになります。

参照:内閣府「令和7年版高齢社会白書」(閲覧日:2026年9月2日)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/html/zenbun/index.html

おわりに

窓辺で高齢女性に寄り添い、笑顔で話しかける女性看護師

統計が示しているのは、看護・介護の仕事がこれからも必要とされ続けるということです。同時に、求められる働き方は少しずつ形を変えていきます。変化を先に知っておけば、慌てて動く必要はありません。敬老の日は、支えられる側の姿を思い浮かべる日であると同時に、支える側である自分の5年後、10年後を考えるきっかけにもなります。いまの仕事の延長線上に何があるのか、この機会に一度、書き出してみてはいかがでしょうか。

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