医療事務は、受付・会計・カルテ作成・レセプト業務などを通して医療機関を支える重要な存在です。
しかし近年は、「もっと患者さんと関わりたい」「現場に近い職種に挑戦したい」「将来のキャリアを広げたい」と考え、別の医療職へ転身する人も増えています。
本記事では、医療事務で培った経験を土台に、医療現場の別職種へステップアップするためのポイントをわかりやすく紹介します。
医療事務の役割とスキル — なぜ医療現場で通用するか

医療事務の仕事内容
医療事務は、医療機関の“受付・会計・事務処理のプロ”として以下の業務を担います。
医療事務の主な仕事
- 患者の受付・保険証確認・カルテ作成
- 会計業務(医療費計算・領収書発行など)
- レセプト作成・チェック、保険請求
- 入退院手続きや備品管理などの事務全般
これらの業務によって、医療事務は 「患者と医療スタッフをつなぐ役割」 と 「医療機関の運営を支える役割」 を担っています。
医療事務で培えるスキル
医療行為は行いませんが、医療事務で得られるスキルは現場職でも大きな強みになります。
- 保険制度・診療報酬制度の理解
- ミスを防ぐ正確な事務処理力
- 患者対応や電話応対などのコミュニケーション力
- 電子カルテ・医療システムの基本操作スキル
これらの能力は、医療現場の補助職や医師事務作業補助などへのキャリアチェンジにも直結する「基礎力」といえます。
参照:職業情報提供サイト job tag「医療事務」(閲覧日:2025年12月8日)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/443
医療現場の別職種へのキャリアチェンジ — どんな選択肢があるか

医療事務の経験を活かしながら医療現場に近づける職種には、主に次の3つがあります。
看護助手(看護補助者)
医師・看護師のサポートとして、
- ベッドメイキング
- 患者さんの移動補助
- 器具の準備・片付け
- 病室の環境整備
などを担当します。
医療行為は行わないため未経験から挑戦しやすく、「患者さんと直接関わりたい」人に向いています。
メディカルアシスタント(医師事務作業補助)
医師の事務作業サポートが中心で、
- カルテ入力
- 医療文書作成
- 診療報酬請求の補助
- 検査・処置の準備
などを行います。
医療事務で培ったレセプト知識・事務処理能力がそのまま活かせる、相性の良い職種です。
医療専門職の“支援人材”としての役割
近年の医療機関では、
- 事務職 → 現場補助
- 非医療職 → 医療サポート
といったキャリア転換を積極的に受け入れる動きが広がっています。
厚生労働省も研修・受け入れ体制の整備を推進しており、未経験者でも挑戦しやすい環境が整いつつあります。
参照:厚生労働省「医療専門職支援人材の 確保・定着のための手引書」(閲覧日:2025年12月8日)
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/files/Attachment/601/医療専門職支援人材の確保・定着のための手引書.pdf
キャリアチェンジを成功させるコツ — 準備・戦略・心構え

自分の“活かせる強み”を明確にする
まず最初に行いたいのが 自己分析 です。医療事務の経験は、現場職種でも大きな強みとして評価されます。
医療事務で培った、
- 正確性・注意力
- コミュニケーション力
- チーム連携力
- 電子カルテなどのITスキル
これらは現場の補助職でも活かせる強みです。
まずは 「自分の武器は何か」 を整理することが転職成功の第一歩です。
仕事内容の理解と“適性の見極め”
希望職種の働き方を事前に把握し、適性を確認しましょう。
チェックポイント
- 身体介助など、患者と直接関わる業務の有無
- 夜勤・シフト勤務の可能性
- 必要な資格や研修制度
- 自分の強みが活かせるか
特に看護助手は 体力・対人力 が重要です。
適性を客観的に判断することでミスマッチを防げます。
資格・研修の活用で“スタートライン”を上げる
資格必須ではありませんが、以下の準備は選考でプラスになります。
- 医師事務作業補助者などの民間資格
- 身体介助などの基礎知識
- 医療機関の研修制度の確認
- 現職でのサポート業務への参加
資格取得や事前学習は「本気度」のアピールにもなります。
志望動機は“前向きな理由”でまとめる
転職理由はできるだけ前向きにまとめましょう。
伝えるべきポイント
- 医療事務で得たスキルをどう活かすか
- なぜ現場に近い職種を選ぶのか
- 患者やスタッフを支えたい気持ち
- その職種で成長したいという意欲
「現場に寄り添って働きたい」という姿勢が信頼につながります。
働きやすい職場環境と支援制度を見極める
成長できる環境かどうか、事前にしっかり確認しましょう。
見るべきポイント
- OJT・研修体制
- 未経験者サポートの有無
- 多職種との連携しやすさ
- 定着率や口コミなど働きやすさの情報
環境の良し悪しで働きやすさも成長スピードも大きく変わります。
参照:パーソル総合研究所「地域を支える医療人材確保の課題と対策」(閲覧日:2025年12月8日)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202512010001/
参照:厚生労働省「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する論点」(閲覧日:2025年12月8日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001586545.pdf?
ケース別|こんな人にオススメ、こんな人は要準備

医療事務から医療現場の別職種へ進む際、「向いている人」と「慎重に検討すべき人」の特徴をまとめました。
こんな人にオススメ
- 患者さんと直接関わる仕事がしたい
- 現場で医療を支える役割に魅力を感じる
- 事務で培った正確性・PCスキル・接遇力を活かしたい
- チームで動くことやサポート業務が得意
- 立ち仕事や夜勤を含む働き方にも対応できる体力がある
慎重に検討を — こんな人は要準備
- 夜勤・シフト勤務・体力面に不安がある
- 医療現場の仕組みや制度の理解が浅い
- 接客や患者対応がストレスに感じやすい
- 忙しい現場での臨機応変な対応が苦手
特に看護助手などでは、患者さんの身の回りの世話や身体的なサポートを伴うため、「体力」「気配り」「責任感」が重要です。事前に現場イメージを確認し、自分の適性を見極めましょう。
まとめ — 医療事務という“基盤”を活かし、新たなキャリアへ

医療事務で培った経験は、事務職にとどまらず 看護助手・医師事務作業補助など、医療現場の別職種でも大きな強み になります。
キャリアチェンジを成功させるポイントは、次の4つです。
- 医療事務の経験で得た強みを整理し、別職種でどう活かせるか明確にする
- 希望職種の働き方や役割を理解し、自分の適性を見極める
- 資格取得・研修などで、未経験でも一歩踏み出せる準備を整える
- 前向きな志望動機と貢献したい姿勢を、選考でしっかり伝える
医療事務での基礎力は、新しい医療職への大きな土台になります。
「もっと患者さんに寄り添いたい」「現場に近い働き方がしたい」と思う方は、ぜひ自分の可能性を信じ、次のキャリアへ踏み出してみてください。