介護施設における働き方は、日勤・早番・遅番・夜勤など多様化しています。その中でも近年注目されているのが「夜勤専従」という勤務スタイルです。文字通り夜勤を中心に働く形であり、収入面や生活スタイルとの相性によって選択する介護士も増えています。しかし同時に、夜間勤務が心身に与える影響にも注意が必要です。
本記事では、「夜勤専従」の働き方を、メリット・デメリット、健康管理、生活リズムの整え方とともにわかりやすく解説します。
夜勤専従とはどのような働き方か

定義と勤務内容
夜勤専従介護士とは、日勤や早番などのシフトには入らず、夜勤のみを担当する介護士のことを指します。夜間の介護業務は、日中よりも入居者の活動が少ないため、巡視・排泄介助・体位交換・ナースコール対応などが中心になります。
厚生労働省の「介護保険施設における人員配置基準」では、夜間は介護職員または看護職員の配置人数が定められています。夜勤を担うスタッフが不足してはならず、見守りや緊急対応に一定の人員が必要である点も特徴です。
法制度の観点
夜勤専従を検討するうえで知っておきたいのが、深夜労働の取り扱い。
厚生労働省が示す労働基準法では、以下のように定義されています。
- 午後10時から午前5時までを「深夜時間帯」とする
- 深夜時間帯に労働させた場合、「割増賃金(25%以上)」の支払いが必要
また、厚生労働省「労働時間、休日及び休憩に関する基準」では、「夜勤明け」は法的な休日として扱われないことも明確にされています。
つまり、夜勤は労働時間の管理・休息の確保が非常に重要な働き方なのです。
参照:厚生労働省「人員配置基準等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)」(閲覧日:2025年11月13日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001144339.pdf
参照:厚生労働省「労働基準に関する法制度」(閲覧日:2025年11月13日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042451.html
参照:厚生労働省「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」(閲覧日:2025年11月13日)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/090501-1.pdf
夜勤専従のメリット

夜勤専従には、他のシフトにはないメリットがあります。
割増賃金による収入アップ
夜勤には深夜割増や夜勤手当がつくため、日勤よりも1回あたりの給与が高くなる傾向があります。
基本給に加えて25%以上の割増となるため、効率的に収入を増やしやすい点は大きな魅力です。
勤務日数を減らしつつ働ける
「1回の夜勤で長時間勤務 → 翌日は休み」という勤務体系を採用している施設も多く、勤務回数は月に8〜10回程度であることも少なくありません。
少ない勤務日数でも収入が安定しやすいため、家事・育児・趣味などと両立しやすい点が支持されています。
業務が比較的落ち着く時間帯もある
夜間は入居者が眠っている時間が多く、日勤のようにレクリエーションや入浴介助などの業務が少ない場合があります。
もちろん、夜間ならではの緊急対応がありますが、「利用者の生活をゆったり見守りたい」というタイプの介護士にとっては働きやすい時間帯となることもあります。
夜勤専従のデメリット

メリットがある一方で、夜勤専従ならではの注意点もあります。
生活リズムの乱れによる健康リスク
夜勤勤務や不規則な生活リズムは、次のようなリスクにつながる可能性があります。
- 睡眠の質低下
- 消化器症状(胃もたれ・食欲低下)
- 自律神経の乱れ
- 慢性的な疲労
- 体内時計のズレによるホルモン分泌の変化
夜勤専従は生活リズムが大きく乱れやすいため、健康管理が不可欠です。
長時間勤務による負荷
夜勤の多くは16時間前後の長時間勤務です。
休憩・仮眠の確保が適切に行えているかどうかは非常に重要です。
社会生活・家族時間とのズレ
昼間に眠ることになるため、
- 家族との生活サイクルのズレ
- 友人との予定が合わせにくい
- 日中の地域活動・学校行事へ参加しにくい
など、プライベート面での制約が生じます。
夜勤専従で働く人のための生活リズム調整法

夜勤専従を続けるうえで欠かせないのが、体調管理です。ここでは実践的な調整法をご紹介します。
睡眠の質を高める工夫
厚生労働省「夜勤・交代制勤務を 中心とした労務管理の 留意点について」では、睡眠確保が最重要とされています。
- 遮光カーテン・アイマスクで昼間でも暗さを確保
- 寝る前にスマートフォンの光やカフェインを避ける
- 室温は18〜26℃程度に調整
- 就寝前の軽いストレッチでリラックス
睡眠の質が上がると、体内時計の乱れも抑えられます。
睡眠スケジュールの固定
夜勤のある生活では必要以上に生活リズムを変動させないほうが身体に負担がかかりません。
- 夜勤明けに短時間だけ仮眠をとる
- 夕方前後に本眠を確保する
- 夜勤前は1時間ほど軽く眠る「予備睡眠」をとる
昼夜逆転生活を安定させることが、夜勤を続けるコツです。
食事・水分の調整
夜勤では食事時間も不規則になりがちです。厚生労働省の健康指針では次のように推奨されています。
- 深夜の食事は消化の良いものを中心に
- 炭水化物+たんぱく質のバランスを意識
- 水分を定期的に摂って脱水を防ぐ
- 暴飲暴食を避け、血糖値の急上昇を防ぐ
胃腸を整えることは睡眠の質向上にも直結します。
心身のケア
- 軽い運動や散歩で体力維持
- 日光を浴びて体内時計をリセット
- 疲労の蓄積を感じたら勤務調整を相談
- 家族・同僚と適切なコミュニケーションをとり孤立を防ぐ
参照:厚生労働省「夜勤・交代制勤務を 中心とした労務管理の 留意点について」(閲覧日:2025年11月13日)
https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/var/rev0/0087/6380/koyou3_1.pdf
夜勤専従はどんな人に向いている?

夜勤専従は、ライフスタイルや体調との相性が大きく影響する働き方です。ここでは、無理なく続けやすい人・注意が必要な人の特徴を簡潔にまとめます。
夜勤専従の働き方に向いている人
①夜型の生活リズムが合っている人
もともと夜の方が活動しやすいタイプは、昼間の睡眠にも適応しやすく、生活リズムが大きく崩れにくいため夜勤との相性が良い傾向があります。
②少ない勤務回数で収入を安定させたい人
夜勤は深夜割増賃金がつくため、月の勤務日数が少なくても収入を確保しやすい働き方です。
③落ち着いた環境で働きたい人
夜勤は日中業務よりも利用者の動きが少なく、巡視や見守りが中心になることがあります。多くの業務を同時にこなすより、丁寧に見守るケアが得意な人には向いている働き方です。
④自己管理ができる人
睡眠・食事・休息を自分で整える必要があるため、体調管理や生活リズムを意識して維持できる人は夜勤専従を続けやすいです。
夜勤専従の働き方に合いにくい人
①昼間に十分眠れない人
夜勤は昼の睡眠が前提となるため、日中に寝付きにくい・眠りが浅いタイプは疲労が溜まりやすく、長期的な継続が難しくなる場合があります。
②家庭や生活が「昼型」で固定されている人
育児・家族ケア・生活リズムが日中中心の場合、夜勤は大きな負担となります。
夜勤明けでも日中の用事がこなせず、疲労が蓄積しやすくなります。
③長時間勤務が体力的に負担になる人
夜勤は16時間前後の勤務も多く、体力に不安がある場合は身体的負荷が大きくなります。
夜勤専従の働き方が合うかどうかのポイント
短期的な条件だけでなく、「自分の体質」「家族環境」「将来の働き方」をふまえて考えることが重要です。
夜型に適応でき、自己管理ができるタイプの人にとっては、夜勤専従は働きやすく、時間を有効活用しやすい勤務形態となります。
まとめ

夜勤専従は、深夜割増賃金による収入アップや勤務日数の少なさといったメリットがある一方、健康リスク・生活リズムの乱れ・社会生活とのズレといったデメリットも抱えています。
しかし、睡眠・食事・休息の管理を徹底することで、夜勤専従でも長く安定して働くことは可能です。
自分の体質・家族環境・ライフスタイルを踏まえたうえで、夜勤専従が自分に合う働き方かどうかを慎重に検討してみてください。