「シフト勤務が続くと、眠れない」「生活が不規則で体調を崩しやすい」――医療や介護の現場で働く方なら、一度は感じたことがある悩みではないでしょうか。シフト制勤務は、社会に欠かせない重要な働き方ですが、働く人にとって負担やリスクとなる部分もあります。
この記事では、シフト制で働く皆さん、特に医療・介護従事者の方々が、健康的な生活リズムを保つための具体的なコツを解説します。
シフト制勤務の現状と課題

病院や入院施設では、看護師や介護士の多くが2交替または3交替のシフト制で勤務していることが多いです。また、日本医労連の「2024年介護施設夜勤実態調査」によると、介護施設において2交替夜勤を導入する施設は88.4%という結果が出ています。
参考:日本医労連「介護施設夜勤実態調査」(閲覧日:2025年6月27日)
http://irouren.or.jp/research/kaigo/kaigo-1/
シフト制勤務は、慢性的な睡眠不足や生活習慣病リスクの増加、メンタルヘルス不調など、健康面での課題が指摘されています。
主な健康リスク
・睡眠障害、日中の強い眠気
・生活習慣病(高血圧、糖尿病など)のリスク増
・ストレス、うつ症状
・仕事のパフォーマンス低下や事故リスク
こうしたリスクを最小限に抑えるためには、生活リズムを意識的に整えることが不可欠です。
生活リズムを整える基本の考え方

人間の体には「体内時計(サーカディアンリズム)」が備わっており、睡眠やホルモン分泌、体温などを約24時間周期で調整しています。夜勤や交代勤務では、この体内時計が乱れやすく、睡眠の質や体調に悪影響が出やすいのです。
生活リズム安定の3本柱
睡眠
質と量の確保
食事
タイミングと内容の工夫
運動・休養
適度な活動とリフレッシュ
これら3つの柱が重要になってきます。
睡眠の質を高めるコツ

それでは、睡眠の質を高めるコツを見ていきましょう。
シフトに合わせた就寝・起床リズム
夜勤明けは無理に長時間寝ない
眠気が強い時は2~3時間の仮眠+夜に通常の睡眠を組み合わせるのが理想です。
日勤→夜勤の切り替えは徐々に
夜勤前日は遅めの起床・昼寝で体を慣らしましょう。
睡眠環境の工夫
遮光カーテンやアイマスクで昼間も暗く
太陽光を遮ることで、昼間でも深い睡眠を得やすくなります。
耳栓やホワイトノイズで静かな環境を確保
騒音を防いで、安眠できる静かな環境をつくることが大切です。
寝る前のスマホやカフェインを控える
ブルーライトや刺激物は入眠を妨げます。寝る前は注意しましょう。
厚生労働省の推奨ポイント
毎日同じ時間に寝起きできなくても、できるだけ「起きる時間」を一定に保つ
眠れない時は無理に寝床にとどまらず、リラックスできる行動を
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」(閲覧日:2025年6月27日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
食事管理のポイント

食事管理もとても大切です。しっかりとポイントをおさえましょう。
食事のタイミングと内容
夜勤時は軽めの食事を複数回に分けて
夜間に高カロリー・高脂肪の食事を摂ると消化不良や肥満リスクが高まります。
夜勤明けの朝食は消化の良いものを
消化の良いうどんやおかゆ、バナナなどがおすすめです。
体内時計を整える朝食の重要性
朝食をしっかり摂る
体内時計のリセット効果が期待できます。
水分補給とカフェインとの付き合い方
水分補給
喉の渇きを感じる前に、こまめに摂取しましょう。
カフェインとの付き合い方
仮眠前はカフェインを控え、夜勤中の眠気対策には適量のカフェイン摂取するのがおすすめです。
運動・リフレッシュの工夫

適度な運動を行ったり、スキマ時間を見つけてリフレッシュすることも大切です。
軽い運動やストレッチ
・仕事前後や休憩時間にストレッチや軽い体操を取り入れる
・運動は睡眠の質向上やストレス軽減にも効果的
休憩中のリフレッシュ方法
・深呼吸やマインドフルネスで気分転換
・5分間の仮眠(パワーナップ)も集中力回復に有効
メンタルヘルス・ストレス対策

精神的な負担の原因や、ストレスに対する対策を知っておくことで、不調を防げることも。心に留めておきましょう。
シフト勤務者が感じやすいストレス
・睡眠不足によるイライラ
・家族や友人との時間が合わない孤独感
・仕事中の突発的なストレス
リラクゼーション・セルフケア
・趣味やリラックスタイムを意識的に確保
・同僚と悩みを共有し合う
・必要に応じて、カウンセリングや相談窓口(こころの耳など)を活用
参考:厚生労働省「こころの耳」(閲覧日:2025年6月27日)
https://kokoro.mhlw.go.jp
シフト制勤務の工夫:実践例

実際にシフト制勤務の現場で働く方達は、どのような工夫をしているのでしょうか。参考にしたい実践例をご紹介します。
医療・介護現場での工夫
仮眠室の活用
「夜勤明けに仮眠室で仮眠を取るようにしています。短時間でも横になると、体が楽になります」
夜勤明けの行動
「夜勤明けは必ず軽い運動をして、朝日を浴びるようにしています。意識して行うようになってから、体調管理がしやすくなりました」
職場や家庭で情報を共有
「職場では、体調不良などを早めに相談するよう意識しています。家庭では予定を共有して、少しでも一緒に過ごす時間を作るようにしています」
まとめ

シフト制勤務は、医療・介護現場を支える大切な働き方ですが、負担やリスクも伴います。しかし、睡眠・食事・運動・メンタルケアのポイントを押さえることで、生活リズムを整え、心身ともに健やかに働き続けることができます。
この記事や参考サイトを見て、自分に合った工夫を実践してみてください。困ったときは、一人で抱え込まず職場の同僚や専門家、公的相談窓口に相談することも大切です。あなたが健康的にシフト勤務ができることを願い、応援しています。